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ゼロからはじめるMCEV

基礎編 上級編

MCEV 基礎編


「MCEV」ってなに?
「MCEV」 (エムシーイーブイ) は、市場整合的エンベディッド・バリュー (Market Consistent Embedded Value) の頭文字をとった略称で、生命保険会社の企業価値を表す指標のひとつであり、上場されている生命保険会社の株式を売買する際の投資判断に活用されることがあります。
ここでは、そのMCEVについて、基礎編と上級編に分けてご説明します。

Q1決算情報だけで企業価値を評価できないの? どうしてEVを開示するの?

A 生命保険会社では、一般的に保険契約期間の長い商品を販売するため、財務会計上の収益と費用を認識するタイミングが一般事業会社と異なります。費用については契約期間の初期に販売手数料など費用の大半が発生するのに対し、収益については契約期間にわたって少しずつ保険料として回収されます。したがって、新しい保険契約を多く獲得した年度ほど、単年度における費用が増加して、利益は減少する構造となっています。
下記イメージ図参照

このような一般事業会社との収支構造の違いにより、単年度の損益を表す損益計算書などの決算情報だけでは、生命保険会社の企業価値を正しく測ることができません。そこで、「既に保有している保険契約から将来発生する収益・費用」も加味した生命保険会社の企業価値を測る指標のひとつとして開発されたのが、EV (Embedded Value、エンベディッド・バリュー) という指標です。

EVはヨーロッパで開発され普及しましたが、日本においても昨今、上場生命保険会社を中心に、決算情報のほかにEVが開示されています。
一般的な生命保険の収支イメージ図
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例えば、一般的な保険契約1件における、生命保険会社の収益と費用を考えてみます。 まず費用については、保険契約の獲得にともない、営業職員手数料、医務査定費、保険証券発行経費などの費用が保険契約期間の初期に生命保険会社に発生します。一方、収益については、保険料が保険契約期間にわたって分割して支払われることが多いため、契約初期は費用が収益を上回り、会社は赤字になります。しかし、契約初期以降は費用負担が大幅に減少するため、保険契約期間が進むにつれて黒字へと転換します。
上記イメージ図参照

このように、生命保険会社では保険契約成立時から終了時までの長期間にわたって収益と費用が時間的ズレとともに認識されるため、一般事業会社のような単年度の決算情報による業績評価だけでは十分ではない、という特徴があるのです。

Q2EVにはどんな種類があるの?

A EVには、

  • TEV (Traditional Embedded Value、伝統的エンベディッド・バリュー)
  • EEV (European Embedded Value)
  • MCEV (Market Consistent Embedded Value、市場整合的エンベディッド・バリュー)

などがあります。

EVは、1990年代にTEVがヨーロッパを中心に広がりましたが、TEVは計算手法や開示ルールにばらつきがあり、 会社間の比較が困難との批判を受けました。そのため、ヨーロッパの主要な保険会社の集まる会議において、MCEV原則というルールが制定され、将来的に期限を設けてこのルールに基づいた運用に統一することを目指しました。 その後、リーマンショックなどの世界的な金融市場の混乱を経て、新しい国際会計基準(IFRS)における保険負債の 会計ルールや、ヨーロッパの保険業界に対する新しいソルベンシー規制*のあり方についての議論が進められる中で、MCEV原則に運用が統一される期限は撤回されています。

ソニー生命では、従来のTEVではなくMCEV原則に準拠したMCEVを開示していますが、これらの議論を注視しつつ、常に適切な経営指標のあり方を検討しています。

* ソルベンシー規制とは、保険会社が将来にわたって保険金支払を適切に行うことができるよう、監督当局が保険会社に対して適用する規制です。これに基づいて、保険会社は経営上十分な資本を維持することが求められ、不十分な場合は経営改善に向けた監督上の指導を受けることになります。

Q3MCEVはどうやって計算されるの?

A MCEVは、計算日時点における今までの事業活動の成果(「修正純資産」)と、生命保険会社の保有する保険契約から将来見込まれる利益(「保有契約価値」)の合計です。

MCEV = 修正純資産 + 保有契約価値
「修正純資産」は貸借対照表から計算されます。(詳細は「もっと詳しく!」をご参照ください)

「保有契約価値」は、解約・失効率、死亡率、運用利回り、事業費率などの前提条件をおいて会社の保有する保険契約の将来利益を予想し、それを割り引いて計算日時点の価値(現在価値)を算出し、税金を控除したものです。
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貸借対照表から計算される「修正純資産」は、純資産に、負債計上された資本性のある内部留保、資産の含み損益などを加えたものです。詳細は以下のとおりです。

MCEV=修正純資産+保有契約価値


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